智慧の世界へ 孔子編2 ~孔子の到達した境地

また、孔子は「60にして耳従い」と言いました。「60歳になって、やっと、人の言葉を素直に聞くことができた」ということです。普通、人間は60歳にもなると頑固になり、人の言葉を聞いても「そんなことは知っている、分かっている」と耳を傾けることができなくなるのが普通なのですが、孔子は60歳になって、やっと人の言葉に耳を傾けることができるようになったというのです。おそらく、そのような謙遜な心を持ったということなのでしょう。

孔子のような人物であれば、知識や経験が豊富である分、人の言葉よりも自分の考えが正しいと判断しやすいのが常です。しかし、「素直に聞くことができるようになった」ということは、自分の考えを主張し、その考えで相手を判断するのではなく、いったん心を無にし、謙遜な心で相手を素直に受け入れることができるようになったということなのでしょう。

孔子もまたソクラテスと同様に無知を克服し、真理に到達したいと命がけで願った人でした:

朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり

訳:朝に真理を聞き知ることができたら
夕方には死んでもよい

彼のこの言葉は、その点を如実に表しています。そして上述したように、無になって謙遜な心で相手を受け入れる境地に至った孔子は、さらに;

七十にして
心の欲する所に従えども、
矩を踰えず

訳:七十になってからは
心のおもむくままに行っても
道理に違うことがなくなった。

と言う境地に達したのです。これは孔子と同様に齢70を数えるソクラテスが、「悟ることは難しい。生きて肉体の欲望を超えるのは難しい。肉体の欲望がある限りは悟れない」と判断をして死を選んだのとは全く違った結論でした。即ち、肉体の欲望を超えて、良心の願うとおりに生きることができるようになったというのです。

孔子編3 ~自らの過ちを認める1 へ
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